万年筆レビュー、今回はパイロットのカスタム845。

所有している万年筆のなかでもっとも気に入っているのがこのカスタム845。

書きやすさ、書き味、インクフロー、サイズ、どれをとっても秀逸な一本。
さらに個人的に好みのベスト型（キャップと軸が丸くないシェイプ）なこともあり、手放せない一本になっている。

書いていて楽しくなったり気分が高まるペンがいくつかあるが、そんなペンのひとつだ。

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エボナイト削り出し、漆仕上げが大きな特徴だが、使用している時には普通の樹脂軸との違いはほとんどと言っていいほど感じない。
ただ、特殊な仕上げがしてあるという満足感はある。
また、サイズによるものか素材によるものか、書いている間に手に伝わってくる「しっかりしている軸」という安定感もあり。
パイロットの調整師の方が言うには、漆の軸は使いこむとどんどん味が出るらしい。
「ペン先が馴染む」というような話はよく聞くが、軸も味わいが増すとなれば、このペンを使って書く楽しみが増える。


18K・15号の大型ニブが特徴。
安定した書き味でストレスのないタッチは18Kの素材よりも大型のニブがかなり貢献していそう。
インクフローも絶妙でまさにヌラヌラ。
ただただ素晴らしいペン。

ペンクリニックで調整する前はわずかに引っかかりがあったが、クリニックで調整してもらったらヌルヌルでストレスのないペンに仕上がった。
個人的には特に問題を感じていなかったのだが、調整師さんに
「本当にこれでいいの？本当に？」
と念を押すように聞かれ、信念（？）が揺らいでしまったので調整をしてもらったら、最高な一本になってしまったという経緯。
調整によって、購入のあと使用感が少ないという「若さ」が消え、使い込んだタッチに近づいた印象。


・ペリカンM805（EF）
・モンブラン146（F）
と比較すると、それぞれスペック上の太さは違うが実際に書いた時のペン線の太さはほぼ同一で、書き味はどれもストレスフリーの素晴らしい書き心地。
優劣をつけにくいのだが、なかでもカスタム845は線にニュアンスが付けやすく、味のある筆致でもっとも気に入っている。
どことなくやはりパイロット製のカスタム845には「和」っぽさがあるような印象。
ペリカンM805（EF）とモンブラン146（F）はスラスラと書けて気持ちがいいが、個人的には「味わい」というか「渋さ」みたいな感覚は薄いように感じた。

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カスタム845の重要な点としては、使用インクに注意が必要なことが挙げられる。
顔料インクは基本的にNG。
顔料インクは漆仕上げに悪影響らしく、購入した箱に使用を控えるよう注意書きが同梱されていた。

使用するインクが顔料系をメインにしているのでかなり焦ったのだが、メーカーに問い合わせたところ、可能な限り軸につかないようにすればOKとのことだった。

というわけで、軸にインクがなるべく付かないように使用している。

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仕様・スペック

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カスタム743、カスタム74との比較

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カスタム74と比較すると大きめだが、使用していて持ちやすい / 書きやすいのは845の方。

74も全然悪くないのだが、845の方が安定感があってストレスがない。
845の大きくて（15号）、しなやかなニブは書き味に大きく影響することがわかる。

カスタム743はスペック上もかなり近いのだが、やはり845の方が書きやすく、なにより書いていて楽しいと感じる。
ペン素材の18Kと14Kの違いはあるものの、その点はたぶん関係ないと考えている。
「金の割合が高いと柔らかい」と捉えがちだが、鉄ペンよりも硬い金ペンも多く、ニブの形状や大きさの方が影響大だ。

となると、漆の仕上げ以外に書き味に影響する違いはほとんどないのでプラシーボ的なものかもしれないが、個人的にベスト型が好きだからかも…？
ベスト型の743、あるいは樹脂軸の845があったら欲しい気もする。


ペンクリニックで、調律師さんにパイロットの金ペンは特にペンポイントの耐久性が高くて長く使える、という話を聞いた。
末長く使っていきたい一本だ。

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パイロット 万年筆 カスタム845

エボナイトを削り出し、漆で仕上げた逸品。
手にしっとりとなじむ感触や艶をお楽しみください。
ペン先は書き手の思いを忠実に表現する大型ペン先を採用。
安定性が高く、なめらかでスムーズな書き味です。

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